問題番号 : 104D52
32歳の女性。右胸痛と呼吸困難とを主訴に来院した。3か月前に右腎腫瘍破裂で止血のために腫瘍血管塞栓術を行い症状は改善した。昨日,突然の右胸痛を自覚し次第に増強して呼吸困難も出現した。意識は清明。身長154 cm,体重41 kg。体温36.9℃。脈拍96/分,整。血圧96/60 mmHg。来院後,右気胸に対して胸腔ドレナージを行い,胸痛と呼吸困難とは改善した。胸部エックス線写真(A)と胸腔ドレナージ後の胸部単純CT(B)とを別に示す。 考えられるのはどれか。
画像診断:上画像参照。Assessment:
無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。