問題番号 : 100D40

本問は,100D39~40の連問の一部です。

58歳の男性。夜間の呼吸困難のため救急車で搬入された。
現 病 歴:4年前に狭心症と診断され,アスピリンと硝酸薬とを服薬していたが,半年前から中断していた。3か月前から駅の階段を昇るとき軽度の胸痛を感じていた。2日前冷汗を伴う前胸部絞扼感が数時間持続し,自宅での安静で軽快した。しかし,昨夜就寝後呼吸困難のため覚醒した。横になると呼吸困難が再発するので眠れず,午前3時に来院した。
既 往 歴:8年前に糖尿病を指摘された。
現  症:意識は清明。身長169cm,体重75kg。呼吸数28/分。脈拍104/分,整。血圧102/88mmHg。頸静脈の怒張を認めるが,心雑音はない。両側下肺野にcoarse cracklesを聴取する。右肋骨弓下に圧痛を認める。両側下腿に浮腫を認める。
検査所見:尿所見:タンパク1+,糖2+。血液所見:赤血球430万,Hb 14.2g/dL,Ht 42%,白血球9,500,血小板30万。血清生化学所見:血糖150mg/dL,HbA1c 9.2%(基準4.6~6.2),総タンパク7.0g/dL,尿素窒素26mg/dL,クレアチニン1.2mg/dL,総コレステロール224mg/dL,トリグリセリド190mg/dL,総ビリルビン0.8mg/dL,AST 60U/L,ALT 34U/L,LDH 620U/L(基準176~353),CK 960U/L(基準10~40),Na 148mEq/L,K 4.6mEq/L,Cl 103mEq/L。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%(酸素3L/分投与下)。入院時の胸部エックス線写真(A)と心電図(B)とを示す。
この患者にまず必要な治療薬はどれか。

正解
b
国試正答率
90%

画像診断
上画像参照。

Assessment

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

無料会員登録して、解説をすべて見る