問題番号 : 100C1

本問は,100C1~3の連問の一部です。

70歳の男性。肺癌の手術目的で入院した。
現 病 歴:3か月前から咳が出現した。近医にて胸部エックス線撮影,胸部CTおよび気管支鏡検査を受け,左上葉原発の肺癌と診断された。
既 往 歴:38歳から高血圧症で降圧薬を服用中である。40歳から腎不全に対して週3回の血液透析を受け,無尿で経過している。
現  症:身長165cm,体重60kg。脈拍64/分,整。血圧148/88mmHg。皮膚は乾燥し,左前腕に内シャントを認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球380万,Hb 10.1g/dL,Ht 35%,白血球6,800,血小板32万。血清生化学所見:尿素窒素72mg/dL,クレアチニン7.6mg/dL,Na 140mEq/L,K 5.1mEq/L,Cl 104mEq/L。心電図上,洞調律であり虚血を疑う所見はない。手術前日に血液透析を受けた。
手術・麻酔経過:右側臥位にて左肺上葉切除術を予定した。麻酔は全身麻酔で換気は左右分離肺換気で行った。開胸操作までは脈拍64/分,血圧160/96mmHg前後で推移したが,胸腔内操作が始まって1時間後,肺動脈からの出血が始まり,電解質液,代用血漿製剤1,000mLを投与した。10分後,出血量が1,900mLを超え,血圧が64/48mmHgへと低下した。赤血球濃厚液1,600mLを急速に輸血したところ,心電図上T波が尖鋭化し心室細動となった。純酸素による両肺換気,術者による心マッサージ,電気的除細動によって3分後に回復し,リドカイン1mg/kg/時間と塩酸ドパミン5 μg/kg/分の持続投与で,以後洞調律で安定した。心拍再開後の瞳孔径は左右とも2mmであり,麻酔からの覚醒に問題はなかった。心室細動時の動脈血ガス分析(両肺換気,100% 酸素)ではpH 7.30,PaO2 592Torr,PaCO2 37Torr,BE -6.5mEq/L。Hb 9.6g/dLであった。
急速輸血を開始した時の出血量は患者の推定循環血液量の約何パーセントか。

正解
d
国試正答率
60%

Assessment
心電図でT波が尖鋭化した後,心室細動をきたしたことから,

無料会員登録していただくと、実際の解説をすべて見ることができます。急性の呼吸困難を主訴とする疾患としては,喉頭浮腫,気道異物,自然気胸,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪などの呼吸器疾患,心不全(急性,慢性の急性増悪),肺血栓塞栓症などの循環器疾患が代表的である。この症例では呼吸器感染症と心不全が疑われるが,胸部エックス線写真は肺炎像というよりも両心不全を示唆する所見を示している。診断:心不全(両心不全)(Nohria分類wet and warm) 選択肢考察 ×a 強い呼吸困難,胸痛などにより安静が保てない場合には,血管拡張による前負荷軽減と,交感神経抑制による心筋酸素消費量の減少を目的としてモルヒネを使用する。この症例ではモルヒネが必要となるほどの興奮状態ではない。

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